So-net無料ブログ作成
検索選択

「ドーパミンニューロン」のはなし(2) [脳のはなし]

2.ドーパミンニューロンには強い意志がある?

 多くの研究者がドーパミンニューロンに関する研究をしている.
 テネシー大学に居た頃,研究凍結令を受けたことがあり,偶然にも「5か月も研究しないで良いという幸福な状況」を得ることができた.そんな時にすることと言えば,図書館に籠って読みたかった論文をあさること.そうすると,あるある,ドーパミンニューロンの研究が.あの5か月は大きかった,どの領域からどの神経細胞を記録してその発射や形態を解析すれば,無限に論文が書けることを確信しました.とは言っても研究凍結令の最中だったので,研究できずに,このまま日本に帰っても良いとも思っていました(このことについては,後で書くかも知れません).
 ところが,ある事情で研究凍結令が解除されたので実験再開です.論文を読むだけでは,なんとなくつまらなかったので,ドーパミンニューロンを実際に記録してみると,この神経細胞には,1-2Hzで発射するためのイオン分子メカニズムが幾つも存在しているのです(大筋は論文のとおりでした).ドーパミンニューロンも他の神経細胞と同様に,細胞体には抑制性シナプスが,樹状突起には,興奮性シナプスがあるのです.ですから,ドーパミン細胞の発射は興奮性入力と抑制性入力のバランスで調節されると思っていました.
 ところが,ドーパミンニューロンは,興奮性入力を入れても,発射頻度がそれほど増加しないのです.また,抑制性入力を加えても発射がなかなか止まらないのです.つまりドーパミンニューロンは外部から興奮や抑制があっても,自分自身は安定して発射するという恐るべき特徴(頑固さ)を持っているのです.ある意味,単一神経細胞に恒常性の仕組みがあるのです.
 これを実際に確認した時,このニューロンには安定して活動する意志があるかの様に思ったわけです.押されても,引かれても,動じない自らの意思をもっているかの様に思えるドーパミンニューロンを羨ましいと感じたのもこの頃からです.
目上や権力者にはYes manのヒトが,格下と見るや恫喝するという人間社会を見せつけられてきた私にとって,その凛としたドーパミンニューロンの活動は妙に愛おしいものに思えて仕方ありませんでした.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。